November 14, 2012
Beauty on the Bus
By SUSAN HEATHDear Diary:
数日前の朝、おとなりにお住まいのルースさんがドアをノックして訪ねてみえられました。彼女は86歳にはとても見えない、ほんとにお綺麗な方です。そのときもいつものようにエレガントなお洋服に完璧なお化粧で輝くような笑顔をしていらっしゃいました。「これ、あなた方の結婚一周年記念にと思って、持ってきたのよ」と言いながら素敵なランのお花と優しいキッスをプレゼントしてくださいました。
私とパートナーは23年間一緒に暮らした後、去年、結婚したばかりなのです。結婚したその日にルースさんが私たちに贈ってくださったのは、象をかたどった容れ物に入った竹の鉢植えでした。末永い幸せの象徴という意味があるんだそうです。
しばらくおしゃべりを続けて、ふと言葉がとぎれたとき、彼女の青く澄んだ瞳がいたずらっぽく輝きました。「ちょっと聞いていただきたいお話があるんだけど、いいかしら? 少し恥ずかしくて困ったのよ、だけど誰かに聞いてもらいたいと思ってたの」
それは先週末の出来事でした。ルースさんはバスに乗ってブロードウェイに向かっていました。いつものように最前列の高齢者優先席に腰掛けていると、一人の若い男の人がわざわざ彼女の座っている真ん前までやってきて、こう言ったというのです。
「あの、すいません、ちょっといいですか? もし良かったら写真を撮らせていただけないかと思って。あの、ご自身はどう思われてるか知りませんけど、すごくお美しいと思うんです。ヘアスタイルはゴージャスだし、お洋服のセンスも最高ですよ!」
ルースさん、これにはちょっと驚いて困ってしまったのですが、結局イエスと答えたそうです。その人は写真を撮り終えると次のバス停で降りて行きました(ルースさん、少しほっとしたそうです。相手は見知らぬ人ですからね)。
そうしてバスがまた走り始めると、バスの後ろの方の席に座っていた別の若い男性が突然、「いやあ、僕も賛成だな。うん。あなた、ほんとに素敵ですよ!」と大きな声で言ったのです。すると間髪入れずに別の人が「ああ、そのとおりだ。君の言うとおりさ!」と続けました。これをきっかけにほぼ満員だった車内の乗客が皆さん口々に同じような賛辞を投げかけてくれて、ついに最後は全員で大きな拍手まで沸き起こったというのです。
彼女がバスから降りるとき、「長いこと運転手やってますけど、こんなことは初めてでした」と運転手さんが言ったそうです。
彼女のお話を聴き終わっって私は言いました。「皆さんのおっしゃるとおりだわ。本当にお美しいもの。ニューヨーカーって、何が最高か、いつもちゃんと分かってるんですよね」


Lucky Bamboo in an Elephant Pot
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