Entries
May 7, 2013Training a Subway MusicianBy JACOB FROMMERDear Diary:毎日のように電車通勤を続けているが、この二年間ずっと変わらない光景が一つだけある。ギターとパンフルートを携えて演奏する男だ。私がその男の前を通り過ぎるのはいつもラッシュアワーを過ぎた午前10時ころなのだが、男の足元に置かれたギターケースの中には、1ドル札がほんの数枚と小銭が少々くらいしか入っていないことがほとんどだった。毎日見かけている...
May 1, 2013An Attempt at a Good DeedBy CLAUDIA GRIESBACH-MARTUCCIDear Diary:24番通りと八番街の角で、目の不自由なお年寄りが、「誰か手を貸してくれんかねー」と声をあげました。歩道が工事中で回り道をしなきゃいけないようになっていたのです。たまたま私は近くを歩いていて、それで、何のためらいもなしにそのおじいさんの腕をとって付き添ってあげることにしました。人助けの気持ちが先走ったのね。そのとき自分が夕べの...
April 17, 2013A Lasting Memory From the First Days in New YorkBy PATRICK MCNAMARADear Diary:ニューヨークに引っ越してきたのは1983年の夏のことでした。それまでこの街には一度も来たことがなく、就職するのも生まれて初めて。知り合いもほとんどいませんでした。初めの頃はこうしたことすべてが一緒になって、何かこの街に圧倒されるような気がしたものです。その後ずっとこの街で暮らしてきましたが、ごく最近ニューヨーク...
March 13, 2013For a Subway Seat, Weighing Pregnancy Against InfirmityBy STEPHANIE NEELDear Diary:ある日の朝、時刻は8時45分。マンハッタン行きの地下鉄の駅のホームで電車を待っていました。冬の終わりの肌寒い、雨降りの日でした。電車は遅れてもう15分も待たされています。ホームはどんどん人が増えてきて混雑してきました。ようやく電車がやってきたのですがもうすでに満員です。それでもみんな遅刻してはならじと...
February 28, 2013Guns and the PulpitBy ALESSANDRA LONGODear Diary:ハーレムにあるファースト・コリンシアン・バプティスト教会の礼拝堂。説教壇に立つ牧師は額から汗を流しながら熱心に説教を続けていました。礼拝堂に並ぶ長椅子は信徒で埋め尽くされています。牧師の熱烈な言葉に応じて、あちこちで感謝の言葉が聞こえます。生きていることの幸せ。この日、ここに皆で集まることのできた幸せ。この日集うことのできたすべての...
November 23, 2012It Started With a DollBy EVE POTTSDear Diary:時:11月15日シーン:市内をゆっくり走るバスの中。郊外からやってきた様子のジャージ姿の若い母親と6歳くらいの女の子。女の子は「アメリカンガール」のお人形をしっかり抱きしめている。その隣に座っているのは綺麗に着飾った金髪の女性。少し年上だが、まごうことなきニューヨーカー。ニューヨークの女性:「そのお人形、『アメリカンドール』のお店まで持って...
November 21, 2012Neighborly EncouragementBy ALESSANDRA LONGODear Diary:ハーレムのアパートメントの玄関ロビーに、一人でたたずんでいました。郵便受けから取り出したばかりの手紙を握りしめて。インクの跡も真新しい、もう何通目になるかしら、型通りの不採用通知。エレベーターは故障していて、6階の部屋まで階段を登って行くには、この手紙は重すぎます。涙がこぼれようとしていたそのときに、後ろから声が聞こえました。...
November 13, 2012A Sandy SamaritanBy JESSICA MILLERJessica MillerDear Diary:ハリケーンサンディが街を襲ったすぐ後の金曜日、サンフランシスコへ出張することになっていました。ブルックリンの自宅から空港まで迎えの車を頼んでいたのですが、直前になって電話がかかってきました。「ハリケーンのおかげでガソリンはないし車もない、あとは幸運を祈るだけだね!」大慌てでほかのハイヤー会社に電話しましたが、どの会社も電話...
August 16, 2012 A Clerk With a HeartBy TERENCE GORDONDear Diary:2004年にロングアイランドからマンハッタンに引っ越してきて、免許証の更新のために34番通りの陸運局まで出かけて行った。その頃の私は頬から顎にかけてひげをたくわえていて、自分でも結構気に入っていた。写真撮影を終えて、パソコンの前に座っている女性係員の前の椅子に座り、手続きが進むのを待った。その女性は綺麗なネールアートをほどこした長い爪の指で...
Dear Diary:1970年代の頃、サウスブロンクスのある学校で代用教員をしていた。大変な時代に大変な地区のまっただ中の学校で働いていたというわけだ。そんなある日、休み時間で一息入れているときに何気なく教室の窓から外をながめると、通りの反対側に停めてあった私の車の下に、一人の男がもぐりこんでいるのが目に入った。これはきっと、無理やりエンジンをスタートさせて車を盗もうとしているのか、それとも何か部品を取り外そ...
Dear Diary:先月のある日、黒のミニチュアダックスフンドを連れて散歩していたとき、ホームレス支援のNPO団体、「Doe ファンド」の職員二人がいる横を通りかかった。そのうちの一人が私の犬を見て、こいつは間違いなくコンテストに出るくらいの犬だね、とコメントした。私は「ありがとう」と言って、でも実際のところは保護施設から引き取って来た犬なんだと教えた。すると彼は、ああ、それなら僕と同じだ、と応えた。Marion Barak...
Dear Diary:1月のある日、夫のトムと一緒にニュージャージーのバーゲン郡からマンハッタンへと出かけました。Museo del Barrio(ラテン系の芸術文化会館)で、「東方の三博士の日」のお祝いをやっていたのでそれを見に行ったのです。帰りのバスに乗ってメトロポリタン美術館の前あたりまで来ると、渋滞につかまってバスがのろのろ運転になり、とうとうピタリととまって動かなくなりました。そうしているとすぐそばの歩道に屋台を構...
Dear Diary:私は最近南カリフォルニアからニューヨークへ越してきたばかりです。ニューヨークは物騒な街だからくれぐれも気をつけるようにと、たくさんの知人や友人に言われてきました。そんなみんなの忠告を無視して、先週末、一人でセントラルパークに出かけてジョギングをしてきました。気持よく一汗かいて無事アパートメントの部屋に帰ってみると、ポケットに入れていた携帯電話が見当たりません。きっと走っている最中に落と...
Dear Diary:去年、クリスマスの日の何日か前に、アップタウン行きの電車に乗っていたときのことでした。ウェスト・フォース・ストリートの駅に着くと、一人の若い男の子が大型のステレオラジカセを持って電車に乗り込んできました。車内の乗客に向けて彼は大きな声で元気よくこう言いました。「おいらは今夜は面倒な事にはかかわりたくないんだ。だから、ここでみんなにダンスを踊ってみせるよ。俺たちがいつもブロンクスでやって...
Dear Diary: ジョージア州に暮らし始めてもう13年になります。ここの人たちがことあるごとに「サザン・ホスピタリティ(南部人に特有の思いやりに満ちた気質)」を自慢するのには正直、もう飽き飽きしてきました。しかもそれは必ずといっていいほど、私の故郷ニューヨークとの比較で強調されるのでなおさらです。ニューヨークでは誰もが皆お互い無関心で冷たいというのです。その昔、まだ私がニューヨーク大学の学生だった頃の出来...
Dear Diary: 何年も前の話だが、コネチカット州の自宅から、ジョン・F・ケネディー空港まで家内を送って降ろした後、その帰り道のことだ。車に乗っているのは中学生の息子と私の二人になったので、ちょっと寄り道してマンハッタン見物でもしようということになった。まず最初に、「プラネット・ハリウッド」で息子のお気に入りのデザートを食べさせてやることにした。そうしてマンハッタンに入ったのはいいが、プラネット・ハリウ...
Dear Diary:それは今から数年前のこと、初めてニューヨークにやって来たその一年目の年のことでした。ミッドタウンのとある地下鉄の駅の構内で階段をのぼっていた時、階段の上に人の靴が底を見せて投げ出されているのが見えました。さらに一段づつ階段をのぼると、ジーンズを履いた長い脚が見えてきて、踊り場の床に一人の女性が目をつぶって床に横になっている姿が目に入りました。そこは駅の構内ですから、大勢の人が通ります。...
Dear Diary: 家内と二人でアリゾナから飛行機に乗ってニューヨークへ降り立った。そのままマンハッタンに直行して不動産会社のエージェントと会った。いくつか物件を見せてもらった後、57丁目と八番街の交差点の歩道に立ち止まって、見てきた物件のことやその価格などについて真剣に話し合っていた。そこへホームレスのような身なりをした男が近づいてきた。男は我々に向かって、「今夜のロブスター・ディナー用のお金をもらえんか...
DEAR DIARY: 私の特技は「指笛」だ。自分で言うのも何だが、二本の指を口にあてて、耳をつんざくような、近所の窓ガラスを揺らすような、なかなかすごい音をだすことができる。この特技は、人と車の喧騒に包まれた街、ニューヨークでは、案外役に立つことがある。先日、マディソン・アヴェニューを歩いていたとき、とても魅力的な若い女性が、なんとかタクシーを拾おうとして苦労している姿が目に止まった。彼女の必死のアピールに...
Dear Diary: 売れないモノ書きで環境問題運動家、そしてフィットネス・インストラクターも兼ねている私は、ここのところ全然、まったく休みらしい休みが取れていません。さすがに身体の調子もおかしくなってきて、耳に腫れものが出来たので、近くのドラッグストアの中にある、ウォーク・イン・クリニックで診てもらいました。簡単な手当てが終わって外に出ると、初老の男の人が、「空腹です。ホームレスにお恵みを!」と書いた段ボ...
Dear Diary: 春先とはいえまだ冬の寒さが残る肌寒い朝のこと。ペンシルベニアステーションのホームで、ダウンタウン行きの電車を待っていた。朝のラッシュアワーだからホームはとても混んでいた。最初にやってきた電車に乗るのはあきらめて、次の電車に乗るために、ベストの位置を確保して待つことにした。目論見通り、次の電車は僕の目の前にピタッと停まった。電車のドアが開くと同時に横へ身体をずらして降りて来る乗客のための...
Dear Diary:その日、私と妻の二人はグリニッジ・ヴィレッジの友人を訪ねて楽しい夕食時を共に過ごした。アパートメントへの帰り道、通りを歩いていると、夜空に稲妻が走った。急に風が強くなり、ついには土砂降りの雨が降り始めてきた。私たち二人は肩を寄せ合って大慌てで駈け出した。何とか雨宿りの場所を見つけて夜空を見上げていると、閉じたままの傘を持って、なぜだか知らないが嬉しくてたまらないといった様子の若い男が通...
Dear Diary: 多くの人がニューヨークのことを「分かっちゃいない」と思う。そう考える理由の一例:暑い夏がやってきた。それはいつにもまして、不愉快なほど暑い、ある日の昼下がりのことだった。14番通りとアヴェニュー・オブ・ディ・アメリカスの交差点、南東の角だった。銀行とキオスク(売店)が並んでいて人通りが一番多いところだ。一人のホームレスの男が銀行の玄関近くに陣取っている。壁に寄り掛かって地面に座っている。...
DEAR DIARY:誰でも人はその人生の中のどこかで、レモネード・スタンドで自家製のレモネードを売る経験をしたことがあると思います。それは2005年の9月のことでした。ハリケーン・カトリーナが上陸して大変な被害をもたらしたということをニュースで知って、私は二人のお友達と相談して、被災地の人たちのために、レモネード売りをすることにしました。たくさん売ってそのお金を寄付することにしたのです。私たちは東75番通りの歩道...
Dear Diary: 妻と一緒にヴァーモント州を車で走っていたときのこと。ちょうど食事時になったので、レストランを見つけて、駐車場に入った。駐車場はとてもこんでいて、僕たちの車と、その後から続いて入ってきたもう一台の車でちょうど満車になった。車を降りて急ぎ足で店内に入り、運よく空いている最後のテーブルに腰掛けることができた。すると、さっき駐車場に僕たちの後から入ってきた二人連れが、おぼつかない足取りで店内に...
Dear Diary: 1月のある晩のこと、私は七番街でバスを待つ長い行列に並んでいました。列の先頭は歩行器につかまって立っているお年寄りの男性です。しばらくするとバスがやってきましたけれど、バス停からかなり離れたところで停まったので、歩行器のおじいさんはずい分苦労してやっとバスの乗り口までたどりつきました。運転手さんが身体の不自由な人のための乗車用リフトを降ろしてくれたので、おじいさんは歩行器と一緒にそれに...
Dear Diary: 愛犬のウェスティー、メイシーそれにグローバーの三匹を連れて、タクシーをつかまえようとしていました。そのとき、道路の反対側から渡ってきた見ず知らずの、60代くらいの女性が、私たちのことをしげしげと眺めながら近づいてきました。道を渡り終えて私のそばまで来ると突然、「どっちに行くの?」と声をかけてきたので、思わずセントラル・パークの方を指さしたのですが、なんでそうしたのか、ちょっと後悔しました...
Dear Diary:17番通りを渡ろうと思って、七番街の角の信号が変わるのを待っていました。ふと見ると、反対側の通りにおしゃれな装いで、ハイヒールを履いた女性が立ちどまっているのが目にとまりました。先日降った雪のせいで、歩道の上には雪の塊りが積み上げられていて、さらに大きな水たまりができて歩道をふさいでいました。どうすれば足元を汚さずに通れるか、とても困っている様子に見えました。すると突然、どこからともなく...
Dear Diary: 私は中西部の田舎に住む高齢者です。先日、ニューヨークを観光で訪れたときに、評判とは違ってニューヨーカーというのは私の地元の人たちよりもずっと親切だと感じることがあったので、そのことをご紹介します。小雨交じりの夕暮れ時のことでした。マンハッタンを走るバスに乗り込んだのですが、ニューヨーク観光のためにあらかじめ買っておいたはずのメトロカード(バスと地下鉄のプリペイドカード)が見当たりません...
Dear Diary: さわやかな風が吹き渡る去年の秋のある日の夕方のこと、家内と私は五番街を歩いていて、一羽のカモメが悠然と胸を張って歩道を歩いているのを見た。すると突然、何を思ったのか、そのカモメはこの夕方のラッシュアワーで混み合っている大通りを横切ろうとして、車の洪水の中に突き進んで行ったのだ。私は思わず声をあげた、カモメは何とか最初の一台はかわしたものの、二台目の車にはねられた。まるで、パンチドランカ...