Dear Diary:
私も高齢者と呼ばれる年になって久しいのですけれども、まだまだ若い頃に身に付けたマナーは忘れておりません。先日の事、地下鉄に乗って座席に座っていると、杖をついた老紳士が若い女性に手をとられて一緒に乗りこんできました。車内に空いた席は無く、たまたま私の目の前のつり皮につかまりました。私よりは年上であることは疑いの余地はありません。私は迷うことなくその老人に席を譲るため、立ちあがりました。老人は私にお礼を言いながらも、自分は座ろうとせずに、古き良き時代の紳士のマナーを身につけていることを証明するかのように、隣りに立つ若い女性に、その席に座るよう促したのです。すると、女性は笑顔でそのすすめに従って、腰をおろしました。
なんて厚かましい!
腰かけた彼女の前に仁王立ちになって、私は言ってやりました。「あのね、私はこの席をこちらの男性の方に譲るつもりで立ったのよ。あなたにじゃないの。私たちよりはどう見てもあなたの方がお若いようですから、もしこちらの男性が席は必要ないとおっしゃるのなら、その席を私に返してもらいたいわ」 彼女は何か言いかけたけれども、考え直したようで、なにも言わずに席を立ちました。こうして元通りに席につくと、他の何人かの乗客たちが、もっともだ、と言わんばかりに私に向かってうなづいてくれたので、ようやく溜飲を下げることが出来ました。
MARCELLA L. TOBIAS
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訳者注:
「なんて厚かましい!」、原文はこうです、「 "Talk of chutzpah! " 」、 「
chutzpah」というのはヘブライ語で、厚顔無恥とか、厚かましいとかいう意味の言葉だそうです。
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