Dear Diary:
97歳になる私の母は、介護サービス付きの施設で暮らしています。母の自慢は毎朝規則正しい生活のルーティンを自分できちんと守り続けていることです。朝はきっかり8時に起きて、一人でシャワーを浴びて着替えます。それから猫に水と餌をやって、ヘルパーさん達のいる階下の食堂へと降りて行くのです。そうそう、階段に向かうその前に、セカンド・アヴェニューに面した窓から通りの様子を眺めることも大事なルーティンの一つです。母はいつもひとしきり窓の外を眺めた後に、階段をゆっくり降りて行くのです。
久しぶりに母を訪ねてやってきたとき(私はシカゴに住んでいます)母は食堂に向かう足をとめて、いつものように階段のそばの窓から外を眺めました。私はその様子を見て何気なく母に聞いてみました。
私:「お母さん、いつもそうやって何を見てるの?」
母:「人生って素晴らしい(Life is beautiful)」
私:「まあ、そんな風に感じられるなんて素敵ね、安心したわ。さあ、朝ごはん食べに行きましょ」
「違うのよ」 母は私を手招きしながら、「こっちへ来て、あなたも見てご覧」と言うのです。母と並んで窓の外の通りを見ると母が一台のトラックを指さしました。
母:「あれよ、分かった?」
そこには引っ越し用の運送会社のトラックが停まっていて、トラックの屋根にはその会社のスローガン、「人生は素晴らしい!(LIFE IS BEAUTIFUL)」という言葉が大きく書いてあったのです。私の誤解が解けたことを確認すると母は「さ、じゃあ、朝食にしましょうか・・・」と言って階段を降り始めました。
Hallie Metzger
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