Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://metropolitandiary.blog129.fc2.com/tb.php/392-224e0e2c

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

翻訳の比較分析

Dear Diary:

私の住んでいるアパートメントの近所に、アイスクリームの専門店が開店した。早速出かけてみると、金髪で素晴らしく美人の、若い女性店員が応対してくれた。注文の合間に、ご出身はどちらですか? と聞かれたので、元々は(ロシアの)サンクトペテルブルグの出身だと答えると、「そうなんですか、それじゃ、トルストイの『戦争と平和』ですけど、色んな翻訳が出版されてますよね、その中で、Richard Pevear と Larissa Volokhonsky の共訳、あれってどうでしょうか? 他の翻訳と比べてどう思われますか?」と尋ねてきた。 これには意表を突かれた(ただ、アイスクリームを買いにきただけなのだから!)。それでも何とか気を取り直して、「別の翻訳、例えば Andrew Bromfield の翻訳も素晴らしい出来なので、そちらも併せて読んでみてはどうだろう」と答えた。そして、「ただし、一般論としては、この作品の翻訳の場合は、冒頭のフランス語で書かれた文章の書き出しをチェックすれば足りるのではないかな」とつけ加えた。若い女性店員は私の答えに満足したようで、にこやかに微笑みながらアイスクリームを手渡してくれた。

数日後、再びその店を訪れた(私は大のアイスクリーム好きなのだ)。相手をしてくれたのはやはり20代前半と思しき、今度は黒髪のきれいな女性店員だった。前回と同じような挨拶が交わされて、私の出身地が明らかになると、「まあ、そうなんですか! じゃあ、お聞きするんですけど、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』なんですけど、お薦めの翻訳ありませんか?」と聞かれた。 残念ながら私はその質問に対する答えを持ち合わせていなかった。すると彼女は別のもう少しやさしい質問に切り替えた。「じゃあ、他に何かロシアの小説でお薦めの本ありますか?」 私はミハイル・ブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」を薦めるよと答えた。彼女は私の答えに満足してくれた様子で、アイスクリームを手渡してくれた。

先日のこともあったので、どういことかと思って彼女に聞いてみると、先日の金髪の女の子も彼女も、コロンビア大学でロシア文学を専攻している仲の良いクラスメートで、一緒にここでアルバイトを始めたのだということが分かった。

なるほどそういうことかと納得はしたが、実のところ、私はもう2週間もその店に行ってないのだ。アイスクリームを食べたくて死にそうだというのに! パステルナークの『ドクトル・ジバゴ』の英訳本についての比較分析を、彼女たちに説明できるようになった後でなければ、その店に戻れないのだ!!

Leonid Poretsky
war  peace

"War and Peace" by Leo Tolstoy, Translated by Richard Pevear, Larissa Volokhonsky

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
訳者注:
つい、安請け合いして、彼女たちと約束しちゃったんでしょうねえ。この愛国心に満ち溢れるインテリおやじの気持ち、よく分かるような気がします。

サンクトペテルブルグ(Saint Petersburg)は、モスクワに次ぐロシア第二の都市。帝政ロシア時代の首都。ソ連時代はレニングラードと呼ばれた。

「戦争と平和」はもちろんロシア語で書かれた小説だが、その冒頭部分はフランス語で書かれている。冒頭に限らず、一説によるとこの小説全体の約2%に当たる分量がフランス語で書かれているという。小説の舞台となった、当時のロシアの上流社会ではフランス語での会話が当たり前だったという事実からそうなっているのだろうが、それを翻訳する際にどうするかということが問題になり得る。Richard Pevear と Larissa Volokhonsky の共訳による「戦争と平和」は、このフランス語部分をフランス語のままで残す(もちろん別途、注で英訳を添えている)という選択をした。こういう手間をかけずに、ロシア語もフランス語も一様に英語なら英語、日本語なら日本語に初めから翻訳してしまうのが普通だろう。ただ、そうしてしまうと、原典で原作者が意図した、この部分は異なる言語で書く、という意図が無視されてしまうことになる。まあ、翻訳というのも、なかなか一筋縄では行かないものだということで・・・。

「巨匠とマルガリータ」についてはこちらを参照して下さい:ウィキペディアアマゾン
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://metropolitandiary.blog129.fc2.com/tb.php/392-224e0e2c

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

metro

Author:metro
metro172をフォローしましょう
にほんブログ村 海外生活ブログ ニューヨーク情報へ
人気ブログランキングへ
Click here ↑↑ everyday. Thanks!!

当ブログはリンクフリーです

最新トラックバック

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。