Dear Diary:
私は中西部の田舎に住む高齢者です。先日、ニューヨークを観光で訪れたときに、評判とは違ってニューヨーカーというのは私の地元の人たちよりもずっと親切だと感じることがあったので、そのことをご紹介します。
小雨交じりの夕暮れ時のことでした。マンハッタンを走るバスに乗り込んだのですが、ニューヨーク観光のためにあらかじめ買っておいたはずのメトロカード(バスと地下鉄のプリペイドカード)が見当たりません。あいにく小銭も持ち合わせがなくて、あちこちポケットを探してようやくしわだらけの1ドル札を探し当てました。それを運転手さんに渡そうとすると、「お釣りのいらないようご用意下さい」と言って首を振るのでした。「まあ、だけどこれしかないのよ。どうすればいいのかしら」と言うと、運転手さんは「乗客の誰かにお願いしてみたら」とおっしゃるのです。私は困ってしまって「それは無理だわ、知ってる人なんていないもの」と答えました。私はこの運転手さんにバスから追い出されるんじゃないかと不安で一杯でした。きっとその様子は夜の山道でヘッドライトに急に照らされて身動きできないでいる、あわれな鹿のように見えたのでしょう。そばの座席に座っていた女性がおもむろにメトロカードを取り出して、「ほら、これ使って」と言いながら私に手渡してくれたのです。私はそれを使わせていただいて、何度も何度もお礼を言いました。するとその女性は、「カードを貸ししただけよ。なにも家を一軒くれてあげたわけじゃないし」とおっしゃったのです。ニューヨーカーっていうのは、親切なだけじゃなくて、ずい分うまいことをおっしゃるんだなと、とても感心いたしました!
Jane Juska
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訳者注:
女性二人のやりとり、原文はこうです、「Suddenly a woman seated near the door held out her MetroCard and said ''Here, use mine.'' I did, and covered her with thank-you's. ''I gave you my card, not my house,'' she said.」
田舎の老婦人らしい大仰な「サンキュー」攻撃に、ニューヨーカーのこの女性、ちょっととまどってしまったんでしょうね。この光景、なぜか目に浮かぶような気がします。
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