Dear Diary:
ここで紹介するお話しは「翻訳の難しさ(Lost in translation)」というカテゴリーに分類するのが適当だろう。
ある日の午後三時、34番通りと9番街の交差点、昼食をとる間もなく仕事に追われて、お腹はぺこぺこだ。見ると角の歩道にホットドッグの屋台が出ている。早速立ち寄って注文した。「ホットドッグにマスタード、それからサワークラウト」 すると屋台の店員が「あいにくサワークラウトは置いてないんで、」と言った。
どういうことだ?ホットドッグ屋にサワークラウトがない?! とても信じられなかったので、屋台の奥を覗き込むと、案の定、山盛りのサワークラウトが置いてあった。僕は「それ、何?」と指さして、「ちゃんとあるじゃないか、サワークラウト!」と言った。店員はぶっきらぼうに答えた、「うちのボスは、こいつのこと、『野菜(ベジタブル)』って教えてくれた」 なるほど、そういうわけか。それならと、僕は注文をやり直した。「フランクにマスタード、それから『野菜』を頼むよ」
どうだい、僕はフレキシブルな男だろ!
Fred Becker

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訳者注:
ザワークラウト(Sauerkraut)は「細切りキャベツの漬物」とも言うべきもので、ドイツ料理の定番。ソーセージ類の添え物として欠かせない。ドイツ語では「ザ」ワークラウトだが、英語では「サ」ワークラウトになる。何しろサワー(酸っぱい)だし、綴りが「S」なので、そうなってしまうのも分かるような気がする。ちなみに日本では原則、「原音主義」なので、たぶん「ザ」ワークラウトと呼ぶのが正しいのだろう。いずれにしてもこれを「野菜」と教えてしまうのだから、もしかすると店員さんはどこか非英語圏からの移民かもしれません。そう言えば、上記のBeckerさん、ドイツ系の名前です。もしかすると「ザ」ワークラウトと発音してたかもという可能性すらあります。国際都市ニューヨークでは「Lost in translation」は日常茶飯事とも言えるでしょう。
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