
Dear Diary:
ワールドトレードセンターで起きたあの悲劇の後、人は皆、様々な思いにかられて、自分の人生を見つめ直す機会を得たはずです。私も含めて多くのニューヨーカーは、それ以前のライフスタイル(我先にと先を急ぐような日々)に戻るようなことはもうやめようと、心に決めたに違いありません。それなのに、あれからまだ一か月も経たないある月曜日の朝、急ぎの用で乗ったタクシーが朝の渋滞に巻き込まれて、私は、つい以前と同じようにイライラしてきました。
タクシーはアッパーウェストサイドの大きな交差点の赤信号に引っかかりました。腕時計を見ると、約束の時間に遅れることはどうやら確実です。その時、大型トラックが混雑する交差点の真ん中で、私たちの行く手を遮るように、ハザードランプを点滅させて停車したのです。
運転手が降りてきて、トラックの前の方に歩いて行き、腰をかがめて何かを拾い上げました。その時初めて、彼が一体どうしてこんなところでトラックを停めたのか、理解できました。彼が拾い上げて手にしていたのは星条旗の小旗でした。交差点の交通はそのトラックのおかげで、完全にストップされていましたが、彼は、気にする様子もなく、小さな星条旗についた泥やほこりを、ゆっくりと丁寧に払い落として、運転席に戻りました。ダッシュボードの横にはすでに一本の星条旗が飾られていて、そこに二本目を並べると、彼は、何事も無かったかのように、ゆっくりとトラックを発進させました。
この出来事の間、ただの一台の車も、タクシーも、トラックも、この運転手に警笛を浴びせかけることはありませんでした。
きっと、みんな、私と同じように、この出来事を目の当たりにすることによって、私たちの国アメリカに対して感謝と尊敬の気持を表すことの大切さを(たとえ、10分くらい予定に遅れるとしても!)改めて思い出させてもらったのだと思います。
Kate Eskra
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