DEAR DIARY:
私は
アメリカン・ジューイッシュ・ワールド・サービスという団体の代表を務めている。スーダンの「ダルフール紛争」にともなう大量殺戮をやめさせるための活動に熱心に取り組んでいた数年前のある日、アポイントメント先に向かうためオフィスを出て通りに出た。手には携帯電話を持っており、その先は我々組織の評議委員につながっている。私はこのダルフール問題に対する我々の取り組みがいかに重要で、支援プログラムをもっともっと拡充する必要があると訴えていた。
タクシーを捕まえて乗り込んだ。行く先を告げてそのまま携帯電話で話し続けた。厳しい質問にも答えた。とにかくこの問題をもっと効果的に広く国際世論の目に触れさせなければいけないということ、そしてそのために我々が手助けすべき戦略を熱心に説き続けた。
タクシーが到着したので、携帯電話の相手にしばらく待ってもらって、運転手に20ドル札を渡してお釣りの金額を告げた(※)。このあと起きたことに私がどれほど驚いたか、想像がつくだろうか?
運転手は私が差し出した20ドル札を受け取らないというのだ。そして後ろを振り返って真顔で私に向かってこう言った。「いや、このお金は受け取れない。俺はスーダンの出身だ。がんばってくれ!」
Ruth Messinger


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訳者注:
ダルフール紛争とは、国連が「世界最悪の人道危機」と呼んだスーダン西部ダルフール地方の紛争。ググると色々出てきます。興味のある方はこちらをどうぞ
「ダルフール紛争」(※) アメリカではタクシーメーターの料金に加えてチップを支払います。従って、例えばメーターが11ドル50セントの時、20ドル札で支払う場合、いくらお釣りを欲しいか(つまりいくらチップを加えるか)、乗客が指示することになります。この場合チップなしなら8ドル50セントのお釣りですが、私なら多分、お釣りは7ドル、と言うでしょう。
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