Dear Diary:
私は中学3年生で、毎日学校へは電車で通っています。二ヶ月くらい前の話なんですけど、学校から帰る途中、電車に乗っていたときのことです。電車は混んでいたので、私は通路に立っていました。隣には頭にスカーフをかぶった女性が並んでいました。その女性の向こう側には背の高い男の人が立っていて、その人は
タキヤ(ムスリムの人たちの帽子)をかぶっていました。
しばらくすると、その男の人が女性に、「サラーム・アレイクム」と挨拶をして、どちらから来たんですかと声をかけました。女性が「イランです」と答えると、男の人は、「僕はパレスティナからなんですよ」、と言いました。そしたらその言葉を聞いてそばにいたもう一人の別の女性が、「まあ、私、エジプトからよ!」と言い出しました。
「やあ、そりゃすごい、世界中から僕らファミリーおそろいだってわけだ!」男の人は大きな声で言って、それから三人で色々とおしゃべりが始まりました。どんなお仕事してるのかとか、どうしてアメリカに住むことになったのかとか、そんなお話です。
その男の人が言うには、自分はムスリムに対する偏見を防いで、差別に反対するための運動をしている団体で働いているということでした。それでかばんの中からいくつかのパンフレットを取り出して彼女たちに手渡していました。
そしたらその人、多分私がずっとその人達のおしゃべりを聞いていたのに気づいていたからだと思うんですけど、私にもそのパンフレットを一部、どうぞと言って渡してくれようとしたんです。私は「どうもありがとう、でも・・・、」と言いました、「私、ジューイッシュなんですけど」 すると、「そんなこと関係ないよ」とその人は言うのです「君たちも僕たちとおんなじ市民権を持ってるんだからさ!」 私はそのパンフレットを受け取って次の駅で降りました。電車を降りる時、私が「シャローム」とお別れの挨拶をすると、「サラーム・アレイクム」とお返事が返ってきました。
Sam Mellins


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訳者注:
「サラーム・アレイクム(salaam alaikum)」はアラビア語の挨拶言葉。文字通りには "peace to you" という意味。
「シャローム(shalom)」というのはヘブライ語の挨拶言葉。その意味は "peace" シャロームとサラームというのは実は同じ語源で同じ意味を持つ言葉です。
元々は「
シャローム(・アレーヘム)」としてユダヤ人の間でこの言葉が挨拶言葉に使われていたのが、後にイスラムの世界でも使われるようになって、「サラーム・アレイクム」になったのだそうです。
女の子と男性の会話、原文はこうです、
“Thank you very much,” I said, “but I’m Jewish.”
“Doesn’t matter,” he responded. “You have the same civil rights as we do.”
通学電車の中での何気ないエピソードですが、なかなか奥の深い話でもあります。
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