Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

一つのベンチ、二つの想い出

May 18, 2012
One Bench, Two Memories, in Central Park
By MARJORIE SENECHAL

May_18_2012.jpg
Suzanne DeChillo/The New York Times

Dear Diary:

その日、いくつか用事があってマンハッタンまで出てきました(私はマッサチューセッツ州に住んでいます)。午後に少し空き時間ができたので、とても寒くて、しかも雨が降っているというあいにくの天気でしたけれど、何はともあれセントラルパークへ足を運ぶことにしました。

雨のセントラルパークというのもとても素敵です。私の姉は、一体どれほどこの公園を愛していたことでしょう。

公園の中の遊歩道を進んで橋を渡ると、ちょうど池に向かって眺めの良いところに、姉のメモリアルベンチがあります。携帯を取り出して何枚かそのベンチの写真を撮りました。ここではいつも複雑な心境になってしまいます。言葉に出来ないほどの悲しみがこみ上げてきます。そして彼女が私達みんなにしてくれたこと、同時に彼女が自分自身に対してしてしまったたことなどが、痛みをともなって想い出されるのです。

ちょうどそのとき、40代くらいの男性がジョギングをしながら近づいて来ました。私がベンチに貼り付けてある銘板を写真に撮っているのを見て、声をかけてきました。「それ、誰か有名人のものなんですか?」

「私の姉のです」と答えると、その人は驚いて足を止めて、「これは失礼。お気の毒に・・・」と言いました。

「いいのよ、気になさらないで。有名じゃないかもしれないけど、大切なものなの」
May_18_2012_2.jpg
「永遠の記憶と愛を込めて、ノーマ・ジュリエット・ウィクラー、悲憤慷慨 傍若無人、1942年ケンタッキー生まれ、2002年コスタリカにて永眠」

その人は10年前に私たちがノーマのことを偲んで、知恵を出しあって書いた銘板の文句をじっと読んでいました。。きっと「悲憤慷慨 傍若無人」というところで吹き出すんじゃないかと思ったのですが、彼が声を上げたのは「コスタリカ!!」でした。

「ええそう、姉はコスタリカで亡くなったのよ」

その人はもう一度、「コスタリカ・・・」とつぶやくと、「私の息子もコスタリカで死んだんです!」と言うのです。

今度は私の方がびっくりしました。「一体どうなさったんですか?」

「息子は馬から落ちて死んだんです。5歳でした。本当に元気で明るくて可愛いさかりの頃の出来事でした」

私の目には涙があふれてきました。彼も泣いています。雨の降る中で、二人の見知らぬ同士が、涙を流して立ちすくんでいるのです。

私、もう何年も泣いたことなんてなかったのよ、と言うと、自分はいつも泣いてます、そうした方が気が晴れるんですと答えました。彼の息子さんが亡くなったのは2008年1月3日だということです。

私の姉ノーマは自殺でした。60歳になることに耐えられなかったのです・・・。でも私たちの場合はそれまでの間、十分彼女と長い時間をともに過ごすことができました。それに比べて、たった5歳でお子さんを亡くされたなんて! 私たちよりも、もっともっとつらい思いをされていることでしょう。

その人は、「痛みは痛み。耐えるしかないんです。」と自分に言い聞かせるように言うと、「失礼ですがお名前は?」と続けました。

「マージョリーよ」

「僕はジェフです」

ジェフは手を差し伸べて私と握手をすると、またジョギングに戻って、走り去って行きました。

人気ブログランキングへ  
にほんブログ村 海外生活ブログ ニューヨーク情報へ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
訳者注:
セントラルパーク内には、約9,000台のベンチがあって、それらの維持管理費用に充てるための寄付金募集プログラム、「Adopt-A-Bench Program」がある。このプログラムに所定の寄付金を添えて応募すると、ベンチに個人の銘板を取り付けてもらえる。これに必要な寄付金の額は、通常のベンチの場合、一口7,500ドル。数の少ない木製の手造りベンチ(上の写真のベンチ)の場合は25,000ドル。

故ノーマ・ウィクラー(Norma Wikler)はカリフォルニア大学サンタクルズ校名誉教授。専門は社会学。ジェンダー問題、貧困問題等、社会における様々な不平等、不公平問題を論じ、社会改革に情熱を注いだ。
関連記事

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

metro

Author:metro
metro172をフォローしましょう
にほんブログ村 海外生活ブログ ニューヨーク情報へ
人気ブログランキングへ
Click here ↑↑ everyday. Thanks!!

当ブログはリンクフリーです

最新トラックバック

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。