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黒いシャツ

June 15, 2012
The Shirt Off His Back
By ROBERT H. SINGER
Dear Diary:

友人と二人でマジソンスクェアパークのバス停でバスを降りた。近くのしゃれたレストランでディナーをとりながら仕事の打ち合わせだ。席についてしばらくすると、店の入り口から楽器のケースをもった男が駆け寄ってきて、私の友人に向かって驚くべき頼みごとを始めた。友人が着ているその黒いシャツを、是非、売ってもらえないかというのだ。

その若い男が言うには、これから始まるステージの時間にほとんど遅刻しそうで、とにかくどうしても、今、すぐに黒いシャツが必要なんだそうだ。近所の洋服屋を何件かチェックしたが見つからなくて本当に困り果てている、値段はいくらでもいい、言われた値段をそのまま払うから、と切羽詰まった様子で頼み込むのだった。

いきなり見知らぬ男からこんなことを言われて、私の友人は大いにとまどっていたが、ついに腹を決めたようだ。上に着ていたスポーツジャケットを脱ぐと、シャツのボタンを一つずつはずして、若いミュージシャンに「50ドルだ」と言いながら黒シャツを手渡した。

男は安どの色を浮かべてシャツを受け取ると、その値段でOKですと言った。ただ、キャッシュが今手元にないのでステージの休憩時間にお金を持ってくるからそれでもいいか、そのとき、どこへお金を持っていけばいいか、と友人に尋ねた。友人はテーブルを指でコツコツたたきながら「ここだ、ここにもってくるんだ!」と告げた。

下着のシャツの上に直接上着のジャケットを着て、友人は「どうだい、イカしてるだろ」と気取ってみせた。私は苦笑いしながら、まあ、あの男に二度とお目にかかることはないだろうな、もちろんお金もな、と言った。友人は肩をすぼめて、さあ、どうかな、一か八かってやつさ、と答えた。

食事を終えてゆっくり仕事の話も済ませたが、男が現れる様子はない。支払いを済ませてドアへ向かうとそのとき、ちょうどその若いミュージシャンが息を切らせてやってきた。しかもちゃんと50ドルを手にしている。ところがこの段になって友人はこう言ったのだ、「いや、やっぱり20ドルでいいよ」今度はミュージシャンの方が驚いて、それは約束が違うと何度かやり取りがあった後、ようやく納得してもらって、二人は20ドルで手を打った。

店を出て通りを歩きながら友人に聞いた。

「なんで20ドルにしたんだい?」

友人は少し顔をしかめながらこう答えた。

「ああ、元々好きなシャツじゃなかったんだ。前のガールフレンドがくれたやつでね・・・」

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