November 13, 2012
A Sandy Samaritan
By JESSICA MILLER

Jessica Miller
Dear Diary:
ハリケーンサンディが街を襲ったすぐ後の金曜日、サンフランシスコへ出張することになっていました。ブルックリンの自宅から空港まで迎えの車を頼んでいたのですが、直前になって電話がかかってきました。「ハリケーンのおかげでガソリンはないし車もない、あとは幸運を祈るだけだね!」
大慌てでほかのハイヤー会社に電話しましたが、どの会社も電話をとることすらしませんでした。タクシーを拾うしかないと思って外に出てみると、近所のガソリンスタンドに、ものすごい数の車の行列ができていました。みんなガソリンタンクが空っぽなのです。
まずい、このままじゃ飛行機に遅れてしまう。
重い荷物を引きずりながら地下鉄の駅に向かいました。あと20秒、あとほんとに20秒というところで電車を逃しました。息をきらして呆然としていると、駅の係員の人がこちらへ向かって歩いてくるのが見えたので、次の電車はどのくらいで来るのか、空港までちゃんと走っているのかと焦る気持ちをおさえながら尋ねました。
「いや、ちょっとよく分かりませんねえ、今、ダイヤ滅茶苦茶だから。ジェイ・ストリートの事務所で聞いてみるといいかも・・・、あー、それから僕はちょうど今からファー・ロッカウェイ(JFK空港のすぐ先)の家に帰るとこなんだけどね」
乗せてもらおうなんて、普通なら絶対考えたりしなかったでしょう。でも、実際は、そうお願いしたのでした。本当に、どうしても、絶対、飛行機に間に合わなきゃいけなかったのです。
私はずっと信じていたんです。ニューヨーカーとういのは、いざというときにはきっと、お互い助け合うものだと。だから勇気を出して、全然見知らぬ人の車に乗せてもらう決心をしたのです。空港へ向かう車の中で、少しおしゃべりしたりしました。ボーイスカウトで活躍して、記念のパッチをもらったたときのお話など、面白おかしく聞かせてくれました。JFKにはちょうど飛行機に間に合う時間に着くことができました。どこからともなく現れたスーパーヒーローに助けてもらったような気分でした。いくらかのお金を差し出しましたが、断られました。
それでは、と私は住所を尋ねました。私が手作りでお礼の記念パッチを作って、後で送るからと言ったのです。それが上の写真です。
不運続きでひどい目にあってる他人を目の当たりにして、喜んで手を貸すことを厭わなかった良き隣人、ニューヨーカーの鑑、そんな人を見つけることができた感謝の気持ちを込めて作りました。もうじきお手元に届くと思います。あの時は本当にありがとうございました。

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訳者注
文中「良き隣人」の原文は、「a good Samaritan」です。聖書に登場する善きサマリア人のたとえ話が元になっていて無償の人助けをする人や仁慈の心を持つ人のことを表すのによく使われます。
「善きサマリア人のたとえ」「善きサマリア人の法」
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