November 21, 2012
Neighborly Encouragement
By ALESSANDRA LONGODear Diary:
ハーレムのアパートメントの玄関ロビーに、一人でたたずんでいました。郵便受けから取り出したばかりの手紙を握りしめて。インクの跡も真新しい、もう何通目になるかしら、型通りの不採用通知。エレベーターは故障していて、6階の部屋まで階段を登って行くには、この手紙は重すぎます。
涙がこぼれようとしていたそのときに、後ろから声が聞こえました。「何か悪い知らせ?」 見ると、そこにいたのはお隣りにお住まいの方でした。そのまなざしは思いやりにみちていて、人生を知り尽くした人のやさしさにあふれています。小さくうなづくと、涙がマスカラに沿ってこぼれ、私の頬を濡らしました。
彼女は、まるで別世界から希望と決意を伝えるためにやってきてくれた使者のようでした。「がっかりしないで、まだこれからよ。もうすぐのところまで来てるのよ。神様が下さった恵みのことを忘れないで。そして、ね、足を一歩前に出すのよ。一歩ずつ、順番に、前に出すの」
彼女は私よりもずっとずっと年上です。塗料が剥げて傷だらけのこの建物のロビーの壁。この場所ではこんな言葉のやりとりが昔から、私が生まれる前から交わされていたのかもしれません。すり減った石の階段を彼女と一緒に、ゆっくり登り始めました。一歩づつ階段を登るときに響くヒールの音。ひとりぼっちのときの音よりも、二人の足音が調子を合わせて力強く聞こえてくる方が、はるかに登りやすくなるんだということに気がつきました。
一緒に階段を登りながら、黙って神様のめぐみを数え上げました。壊れたエレベーターのおかげで、人を助けるのに十分な強さを持った、こんな素晴らしい隣人と出会うことができたのです。

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訳者注:
「神様が下さった恵みのことを忘れないで」というのは、原文では、「count your blessings」です。嫌なことが続いて落ち込んでいる時に、「恵まれていることを数え上げるように」と、さとして元気づける場合に使う決まり文句です。恵まれていないと考えるからこそ落ち込んでいるわけですが、どっこい、数えて見れば必ずいくつも見つかるものです。その最たるものは「生きている」ということですね。
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