November 23, 2012
It Started With a Doll
By EVE POTTSDear Diary:
時:11月15日
シーン:市内をゆっくり走るバスの中。郊外からやってきた様子のジャージ姿の若い母親と6歳くらいの女の子。女の子は「アメリカンガール」のお人形をしっかり抱きしめている。その隣に座っているのは綺麗に着飾った金髪の女性。少し年上だが、まごうことなきニューヨーカー。
ニューヨークの女性:「そのお人形、『アメリカンドール』のお店まで持っていくの?」
女の子:「うん、パパがプレゼントしてくれたの。お店で耳にピアスして、髪型も変えてもらうの」
母親:「この子のパパ、戦闘部隊から帰ってきたばかりなんです。またすぐ任務にもどらなきゃいけないんですけど。このお人形はパパからのプレゼント。パパが無事帰ってきたことと、私たちがハリケーンで無事だったことの両方のお祝いなんです」
(ニューヨークの女性はずっと女の子を見つめています)
母親:「私たち、ニュージャージーに住んでるんです。ハリケーンサンディで家がこわされちゃって、修理が終わるまで母親の家に寄せてもらってるんです。私のほんとに仲のいいお友達は洪水でもう、完全に家が流されちゃって。 それに、電話もらったばっかりなんですけど、彼女のご主人、38歳のご主人なんですけど、脳血栓で亡くなったって・・・。」
女の子:「私のおともだちのお父さんなの。その子のお誕生日の日だったの!」
通路を挟んで母親と目が合いました。彼女のお話しを聞いていて私の眼には涙が浮かんでいました。
ニューヨークの女性(車内のみんなが聞き耳を立てていることに気づかないまま財布に手を伸ばして):「まだ大きな慈善団体や何かに寄付とかしてないんだけど、あなたのお友達のために、何かお力になりたいわ」
そう言いながら母親の手に20ドル紙幣を何枚か渡そうとしました。母親は驚いてお断りして、私の方を見ました。私は首を振って、「受け取らなきゃだめよ」と言いました。彼女は改めて受け取ると丁寧にお礼を言いました。そしてお嬢さんに向かって、あなたは天使の隣に座ってるのねと言いました。
ニューヨークの女性が停車ボタンを押して立ち上がり、眼を涙で濡らしている母親と抱き合って別れを告げました。五番街を歩いて行くその「天使」に向かって、女の子は窓からいつまでも手を振っていました。

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訳者注:
「アメリカンドール」のお人形、大人気のようですね。多様性の国アメリカならではのバラエティに富んだお人形、しかもカスタマイズまで出来るようです。
こちらのブログに詳しく紹介されています。
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