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通勤電車での出会い

January 29, 2013
Missed Connection on the R Train
By JACQUELINE KLAPAK


Dear Diary:

「ドアが閉まります。足元にお気をつけください」

次の駅に電車が停まるまでその人のことに気がつかなかった。
一人で座席に腰掛けていて、
ドミニカ生まれの作家、ジュノ・ディアスのベストセラー小説
「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」を読んでいる。

「次の停車駅はエルムハースト・アベニューです」

『¡Me gusta Junot Díaz también!(私もジュノ・ディアス大好き!)』と声をかけたい。
でもどうやって?通路をはさんで大きな声をだす? そんなの無理。

「次の停車駅はルーズベルト・アベニューです」

彼が履いている靴はチャック・テイラー。
私のお気に入り。
今朝もよっぽど履いてこようと思ってたほど。
片手にダンキンドーナツのテイクアウトコーヒーを持ってる。
ねえちょっと、私も毎朝ダンキンドーナツに寄るのよ。
そして一人ぼっちでクイーンズからウォールストリートの駅まで電車に乗るの。

「次の停車駅は65番通り・・・」

肌の色は褐色。(ドミニカ人、それともキューバの人かしら?)
どっちでもかまわない。とにかくかっこいい。
髪はほとんど黒に近い焦げ茶色。

「次の停車駅はノーザン・ブルバード」

もしかしたら同じ駅で降りる?
お仕事、何してるのかしら?
詩人? オペラ歌手? お店のウェイター? それともスパイ・・・?
左手に指輪はしていない。

次の停車駅は46番通りです」

急に大きな声で笑い始めた。
開いた本で顔を覆った。
隣に座っている女性がジロッとにらむ。
それでも身体を揺すって笑いをこらえきれない。
女性はコートの前を合わせると席を立った。

「次の停車駅はスタインウェイ・・・」

彼の隣に座りたい。
いや、だめ。そんなの変。
この電車、なんで今日は故障しないのかしら。
いつもしょっちゅう故障して止まるくせに。

「次の停車駅は36番通り・・・」

賭けてもいい、間違いなく完ぺき。
メール魔じゃなくて、
周りの人を楽しませるのが好きで、
ハリウッド製じゃない渋い映画が好みで、
毎朝ジョギングするんだわ。

「次の停車駅はクィーンズプラザ」

こっち見て、
その本、私も大好きなの。
こっち見て、私のこと、お願い!
私は自分の人生を誰か一人の人にコミットするなんて怖くてできないタイプ。でも、
一緒に犬を飼って、小さな家に住んで、ずっと仲良く暮らしましょ・・・。

「次の停車駅はレキシントン・アベニュー・・・」

後ろ髪を引かれる思いで私は電車を降りた。

「閉まるドアにご注意下さい」

相変わらず「オスカー」を夢中で読んでいる彼、ドミニカンでキューバン、詩人でオペラ歌手、それにウェイター兼スパイの彼を、電車に残したまま。

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訳者注:
「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」という本、私はまったく知りませんでしたが、なんだかずい分おもしろそうな本のようですね。アマゾンの紹介記事は次のようになっています。

オスカーはファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中のオタク青年。心優しいロマンチストだが、女の子にはまったくモテない。不甲斐ない息子の行く末を心配した母親は彼を祖国ドミニカへ送り込み、彼は自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。独裁者トルヒーヨの政権下で虐殺された祖父、禁じられた恋によって国を追われた母、母との確執から家をとびだした姉。それぞれにフクをめぐる物語があった―。英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化が激突する、全く新しいアメリカ文学の声。ピュリツァー賞、全米批評家協会賞をダブル受賞、英米で100万部のベストセラーとなった傑作長篇。
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