March 13, 2013
For a Subway Seat, Weighing Pregnancy Against Infirmity
By STEPHANIE NEELDear Diary:
ある日の朝、時刻は8時45分。マンハッタン行きの地下鉄の駅のホームで電車を待っていました。冬の終わりの肌寒い、雨降りの日でした。電車は遅れてもう15分も待たされています。ホームはどんどん人が増えてきて混雑してきました。
ようやく電車がやってきたのですがもうすでに満員です。それでもみんな遅刻してはならじと湿気の充満した混み合った車内に押し合いながら乗り込んで行きました。するとドアが閉まる直前になって、座席に座っていた一人の男性が急に立ち上がり、あわててホームへ降りて行きました。
満員電車の中でぽっかり一人分の座席が空いたのです。そばに立っていた二人の乗客が同時に、その席へ座ろうという動作をみせました。そしてお互いの顔を見て立ち止まったのです。一人は年配の男性で杖を使っています。もう一人の方は若い女性で妊婦さんのようです。
車内の乗客はこの状況をみて皆息をひそめました。さあ、これはどちらの方が優先されるべきでしょうか? お二人の間で言い争いが起きたりするのかしら? 誰か他に席を立つ人はいないのかしら?
電車がホームを離れて進みだすと、ついに男性が言いました。「杖よりお腹の赤ちゃんじゃ、杖よりお腹の赤ちゃんが優先じゃ!」
この言葉に車内のみんなが笑顔になって、そこかしこで拍手が沸き起こり、ほっとうなずき合う乗客もいました。それでもそれで解決したわけではなく、二人は何度も互いに相手に座るよう勧めあって、結局、杖を持った男性が座席に腰掛けることになりました。女性は、自分は次の駅で降りからと、どうしても座ろうとしなかったのです。この様子を目撃した私たち乗客は皆本当に心和む思いでした。

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訳者注:
杖をついた男性のセリフ、原文はこうです。「 “Pregnancy beats cane! Pregnancy beats cane!”」
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