March 15, 2013
A Lubavitcher and a Young Gay Latino Board a Plane
By WILFREDO RAMOS, JR.
Dear Diary:
スイスのチューリッヒからニューヨークのケネディ空港へ向かう飛行機に乗った。隣の座席にユダヤ教ルバビッチ派の装束に身を包んだ男が座った。これで道中楽しみにしていた映画
「マジック・マイク」を観ることをあきらめた。イケメンのマット・ボマーが胸をはだけるシーンを観る代わりに、となりで男がテフィリンにキスしている様子が目に入った。窓の外にはちょうど飛行機の翼があって景色も楽しめない。これは長い旅になりそうだと思った。
しばらく経ってスイスで買ったチョコレートの最後の一個をつまんだとき、隣人があの味気ないコーシャー・ベーグルを手にしてじっと眺めているのに気がついた。ちょっと可哀想な気がして、チョコレートを勧めてみた。男は丁重に断った。僕は食べるのをやめて箱にしまった。すると男がどこへ向かうのかと話しかけてきた。
僕達二人は飛行機が大西洋を渡り下降を始めるまでに、シカゴの人種差別問題や英文学専攻の価値、そしてスイスと比較したアメリカのオープンさなどについて語り合った。機体が大きく弧を描いてさらに下降し始めて会話が途切れた。眼下には空港へと続く海が見える。白波の花があちらこちらに咲いている。その花びらの上にたよりなげに浮かぶ小さな船の群れ。対岸の街は一面、やわらかな朝日に照らされていた。
こうしてルバビッチ派の老ユダヤ人とラテン系ゲイの若者がニューヨークに到着したというわけだ。ここまでの長旅を後にして、この先の、もっともっと長い旅に足を踏み出すために。

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訳者注:
ルバビッチ派はユダヤ教の中でも超正統派と呼ばれる厳格な宗派の一つ。ユダヤ教伝統の様々なしきたりや教えを厳格に守る。食事はコーシャーに限り、同性愛は認めない。

「
マジック・マイク」は男性ストリッパーの世界を描いた話題騒然の映画。

このエントリーの投稿者がお気に入りのイケメン、
マット・ボマーは右側の男性(もちろんゲイ)。
「テフィリン」とはユダヤ教の宗教用具の一つで四角い小さな革製の箱。お祈りのときにこれを頭と腕に革ヒモで取り付ける。
画像はこちら。日本の山伏もなにか似たようなものをおでこに付けてますよね。
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