March 22, 2013
Shoeshine Notes
By JOE WIEDER

Don at his shoeshine stand. Joe Wieder
Dear Diary:
47番通りとアベニュー・オブ・ディ・アメリカスの角に靴磨きのスタンドがあって、そこに靴磨き職人のドンがいる。私は最近そこをちょくちょく利用するようになった。
初めて彼に靴を磨いてもらったときのことはよく覚えている。たまたま通りかかった私に大きな音で舌を鳴らして注意を引き、満面に笑みを浮かべながら薄汚れたローファーを指さしてこう言ったのだ。「だんな、またそろろ大事にしてやんないとね!」 それから私はドンのファンになった。
ドンの靴磨きスタンドに行くたびに面白かったことを心にとめるようにしている。そのうちのいくつかを紹介しよう。
12月初旬の天気のいい晴れた日の事だった。スタンドの椅子に腰掛けていると肌寒い。もうすぐ本格的な冬がやって来る。私はドンに電気ストーブを置いらどうだいと勧めてみた。それにエスプレッソのサービスがあるとなおいいんだがと。
「いやー、んなこたぁ、要らん世話ですよ。ケツの下に手を敷きゃ寒くねえし、エスプレッソは自分で買ってくりゃいいんですよ!」
また、別のある日には、ビシっとしたスーツを着こなして高そうなウィングチップを履いたビジネスマンに、磨いた方がいいよ、どんだけ汚れてるかちゃんと見てみなよと何度も声を掛けたあげくに無視された。そしてドンがその男の背中に向けてかけた言葉がこうだ:「ああ、そうかい。だけどな、あんたの自尊心だってずっとそのまま永遠に無傷でいられるってわけじゃねえだろ。 どうすんだい? いつかすり切れっちまった時はよぉ!」
ドンが声を掛けた時にチラッと振り返った別のビジネスマンのときはこうだった。「そうさ、ちゃんと認めたよ。今、自分の靴に問題があるってことを認めたんだよ。まず認めることが大事なんだ! さあ、こっち来なせえ。お次はあんただよ!」男はドンに誘われるまま椅子に腰掛けた。大成功。
若いビジネスマンが急ぎ足で通りすぎようとしていた。一心不乱にiPhone の画面を見つめて何やらしきりに操作しながら歩いている。ドンは後ろから大きな声でこう言った。「靴!そこの兄さん、自分の靴を見てみなよ。オンラインじゃ、靴磨きはできねえよ!」
若者はiPhone から顔を上げて何ごとかと振り返り、足元を見ると、ドンの指さす椅子に座るため、引き返してきたのだった。
まったくドンという男は大した詩人であり、マーケティングの天才だ!
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