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当て逃げ

March 26, 2013
A Sidewalk Hit and Run, With a Suitcase
By SALLY WENDKOS OLDS


Dear Diary:

それは1月のある日のことでした。ちょうどお昼時でマジソン・アベニューの歩道は大勢の歩行者が忙しそうに行き交っていました。そのとき急に右足に、何か痛みが走りました。足元を見るとスーツケースのローラーがちょうど私の靴の上を通りすぎて行くところでした。綺麗に着飾った一人の女性が後ろ手にローラー付きのスーツケースを引っ張りながら真っ直ぐ前を見て、後ろで何が起こっているかに一切お構いないしに颯爽と歩いているのでした。

不注意な人が車を運転していて人をはねたことに気づかずにそのまま行ってしまうように、彼女は自分のスーツケースが私の足をひいたことに全然気が付かなかったのです。

彼女は早足でどんどん進んでいきます。同じ方向に歩いていた私は痛めた右足をちょっと引きずるようにして、ゆっくりと歩きました。しばらく進むとその女性が交差点の赤信号で立ち止まっています。私は彼女の隣に並んでにこやかな笑顔で話しかけました。「あの、もう少しそのスーツケース注意して運んだ方がいいですよ。さっき私の足にぶつかったのよ」

私のことを振り返った彼女は、私が少なくとも30歳以上は年上の老人だということがすぐに分かったはずなので、「まあ、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」と心配そうに謝ってくれるとばかり思っていました。とんだ間違いでした。

実際に返ってきた言葉はこうでした。「しっかり注意して歩いた方がいいんじゃありません?」そして畳み掛けるようにこう聞いてきたのです。「あなた、私の後ろにいたの? それとも前?」 私は、後ろと答えました(彼女が肘で私を押しのけて前へ進み出るまでは隣に並ぶようにしてあるいていたのですけどもね)。「あらそう」スーツケースを引き寄せながら彼女は言いました。「それならあなたの方がもっと気をつけるべきよね。後ろに眼がついてるわけじゃないんだから!」

「まあ、あなた責任をとらないのがお上手なのね」と言うのが精一杯でした。すると彼女はこれを褒め言葉とでも受け取ったのでしょうか、「サンキュー」と返事をしたので驚いてしまいました。

信号が変わって彼女はまた足早に立ち去っっていきました。私の隣にいた青年がその後姿をあきれたように見つめています。そして私の方を向いて目配せしました。こうしてこの出来事を見知らぬ若者と共有できたこと、そして私はまだニューヨークを愛していると思えたことをとても嬉しく思っています。

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