May 7, 2013
Training a Subway Musician
By JACOB FROMMERDear Diary:
毎日のように電車通勤を続けているが、この二年間ずっと変わらない光景が一つだけある。ギターとパンフルートを携えて演奏する男だ。
私がその男の前を通り過ぎるのはいつもラッシュアワーを過ぎた午前10時ころなのだが、男の足元に置かれたギターケースの中には、1ドル札がほんの数枚と小銭が少々くらいしか入っていないことがほとんどだった。毎日見かけていると嫌でも気づくことだが、男のレパートリーは「ホテル・カリフォルニア」をはじめとするイーグルスの名曲が数曲だけで、いつも変わりがない。
ある日私はこのミュージシャンのために、あるいは私も含めた他の通勤客のためにと言ってもよいが、一冊のロックギターの楽譜を買って手渡した。
それから二ヶ月たったが何も変わらなかった。ようやく3月になって、ある日、駅の階段を降りているといると、ビートルズの曲(パンフルート版だ)が聴こえてきた。しかもギターケースの中は、いつもとは比べ物にならないくらい、チップで一杯になっていた。
通り過ぎざまに、男は私に向かってウィンクして挨拶した。私はにやりと笑顔でうなづいた。
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